ところで、皆さんは歯磨き粉に含まれるフッ素の量について、気にしたことはありますか?
「フッ素って虫歯予防に良いって聞くけど、一体どれくらいの量が含まれているものが良いの?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、歯磨き粉のフッ素量について解説していきたいと思います。
フッ素って何?なぜ虫歯予防に良いの?
フッ素は、私たちの歯を強くしてくれる、頼もしい味方です。
歯の表面は、普段から酸によって少しずつ溶けています。(これを脱灰といいます。) フッ素には、この脱灰を抑え、歯の再石灰化を促す効果があります。
つまり、フッ素は歯を修復し、虫歯になりにくくしてくれるのです。
歯磨き粉のフッ素量、どれくらいが最適?
現在、日本で販売されている歯磨き粉のフッ素濃度は、1500ppmが上限と定められています。
しかし、この上限値いっぱいのフッ素濃度の歯磨き粉を使えば良い、というわけではありません。
なぜかというと、年齢や歯の状態によって、適切なフッ素濃度は異なるからです。
年齢別のフッ素濃度
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6歳未満
6歳未満のお子様には、フッ素濃度が1000ppm以下の歯磨き粉が推奨されています。
なぜかというと、6歳未満のお子様は、歯磨き粉を誤って飲み込んでしまう可能性があるからです。
フッ素を大量に摂取すると、吐き気や嘔吐、下痢などの症状が出ることがあります。
また、歯が作られる時期にフッ素を過剰に摂取すると、歯の表面に白い斑点ができてしまうことがあります。(これを歯牙フッ素症といいます。)
そのため、6歳未満のお子様には、フッ素濃度が低い歯磨き粉を使用するようにしましょう。
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6歳以上
6歳以上の方には、1500ppmのフッ素濃度が含まれた歯磨き粉がおすすめです。
フッ素濃度以外に気をつけることは?
歯磨き粉を選ぶ際には、フッ素濃度以外にも、以下の点に注意しましょう。
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研磨剤の有無
歯の表面を傷つけないよう、研磨剤が含まれていない歯磨き粉を選ぶようにしましょう。
歯に停滞しやすいジェルタイプがおすすめです。 -
香味
毎日使うものなので、自分が好きな香味の歯磨き粉を選ぶと、歯磨きが楽しくなります。
歯磨き粉の選び方
自分にぴったりの歯磨き粉を選ぶためには、以下の3つのポイントを押さえましょう。
1. 目的
歯磨き粉を選ぶ上で最も大切なのは、目的です。
- 虫歯予防
- 歯周病予防
- ホワイトニング
- 知覚過敏
- 口臭予防
など、歯磨き粉を使う目的は人それぞれ異なります。
まずは、自分が歯磨き粉に何を求めているのかを明確にしましょう。
2. 成分
歯磨き粉には、様々な成分が含まれています。
- フッ素:虫歯予防
- 薬用ハイドロキシアパタイト:歯の再石灰化を促進
- ポリエチレングリコール:着色汚れを落とす
- 塩化セチルピリジニウム:殺菌効果
- ビタミンE:歯茎の血行促進
など、それぞれの成分が持つ効果を理解し、自分の目的に合った成分が含まれている歯磨き粉を選びましょう。
3. 使用感
歯磨き粉は、毎日使うものだからこそ使用感も大切です。
- 泡立ち
- 香り
- 味
- 研磨剤の有無
など、自分の好みに合った使用感の歯磨き粉を選びましょう。
🦷おすすめ歯磨き方法:イエテボリ法
- ①歯ブラシに2cm程度のフッ素入りの歯磨き剤をつける(歯ブラシは濡らさず乾燥したまま)
- ②2分間ブラッシングをする
- ③キャップ1杯分の水でうがいをする
- ④その後2時間は飲食禁止
イエテボリ法のポイントは次のとおりです。- フッ素入りの歯磨き剤を使用する
- 歯磨き後にうがいをしないか、しても1回程度にとどめる
イエテボリ法は、通常の歯磨き方法と比べてむし歯の予防効果が40%以上高いことが実験でわかっています。日本でも多くの予防歯科医院で導入されています。
適切なフッ素濃度の歯磨き粉を選び、正しい歯磨きをすることで、虫歯を予防することができます。
もし、どの歯磨き粉を選べば良いか分からない場合は、歯科医に相談してくださいね。
かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック 院長 押村憲昭