春の訪れとともに、私たちを悩ませる花粉症。くしゃみや鼻水だけでなく、実は花粉症はお口の健康にも影響を与えることをご存知ですか?今回は、歯と花粉症の意外な関係について、日常生活で役立つ対策と合わせてご紹介します。
1. 花粉症と歯の痛みの関係
「花粉症なのに歯が痛くなるの?」と不思議に思う方もいるかもしれません。しかし、花粉症による鼻の炎症は、副鼻腔という鼻の奥にある空洞にまで広がることがあります。
特に、上顎洞という上の奥歯に近い副鼻腔が炎症を起こすと、歯の神経を圧迫し、歯の痛みを引き起こすことがあるのです。そのため、花粉症の時期に奥歯の痛みを感じたら、もしかしたら副鼻腔炎が原因かもしれません。
2. 花粉症による口呼吸と歯への影響
花粉症で鼻が詰まると、どうしても口呼吸になりがちです。しかし、口呼吸は唾液の分泌を減少させ、お口の中を乾燥させてしまいます。唾液には、食べかすや細菌を洗い流し、お口の中を清潔に保つ自浄作用があります。
そのため、唾液が減ると虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、口臭の原因にもなるのです。また、お口の中が乾燥すると、歯茎が炎症を起こしやすくなり、歯周病の悪化にもつながります。
3. 花粉症の薬と歯への影響
花粉症の治療薬には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などがありますが、これらの薬には副作用として口渇(こうかつ)、つまりお口の乾燥を引き起こすことがあります。
そのため、薬を服用している間は、意識的に水分を摂取したり、保湿剤を使用したりするなど、お口の乾燥対策を行うことが大切です。
4. 花粉症対策と歯の健康を守るための日常生活のヒント
では、花粉症の時期に歯の健康を守るためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか?日常生活で簡単にできることをご紹介します。
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こまめな水分補給
お口の中の乾燥を防ぐために、こまめに水分を補給しましょう。水やお茶だけでなく、口腔保湿ジェルやスプレーを使用するのもおすすめです。
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鼻うがい
鼻うがいは、鼻の中の花粉や鼻水を洗い流し、鼻の炎症を抑える効果があります。鼻うがい用の洗浄液も市販されているので、試してみてはいかがでしょうか。
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歯磨きと口腔ケア
丁寧な歯磨きと、歯間ブラシやデンタルフロスを使った口腔ケアを徹底しましょう。特に、就寝前は丁寧な歯磨きを心がけ、お口の中を清潔な状態に保ちましょう。
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加湿器の使用
加湿器を使って部屋の湿度を適切に保つことで、お口の中や鼻の乾燥を防ぎます。
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マスクの着用
花粉の侵入を防ぐために、マスクを着用しましょう。マスクには保湿効果も期待できます。
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ガムを噛む
唾液の分泌を促すために、キシリトール入りのガムを噛むのもおすすめです。
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歯科医院での定期検診
定期的に歯科医院を受診し、お口の中の状態をチェックしてもらいましょう。歯科医師や歯科衛生士に相談することで、自分に合った口腔ケアの方法を知ることができます。
5. 歯の痛みが続く場合は歯科医院へ
「もしかして花粉症のせいかな?」と思っても、自己判断は禁物です。歯の痛みが続く場合や、症状が悪化する場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯科医師に相談することで、適切な治療やアドバイスを受けることができます。
花粉症は、鼻や目の症状だけでなく、お口の健康にも影響を与える可能性があります。今回ご紹介した対策を参考に、花粉症の季節も快適に過ごし、お口の健康も守りましょう。
もし、お口のことで何か気になることがあれば、いつでもお気軽に歯科医院にご相談ください。
かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック 院長 押村憲昭