
今回は、歯医者さんで頑張って治療が終わったのに、「あれ?なんだかまだ痛むぞ…?」と感じた経験のある方に向けて、その理由を優しく解説していきたいと思います。
「やっと終わったー!」とホッとしたのもつかの間、ズキズキしたり、じんわり痛んだりすると、ちょっと不安になっちゃいますよね。「治療はちゃんと成功したのかな?」「また何か悪いことが起きたのかな?」なんて、心配になるのも無理はありません。
でも、実は、歯の治療後に痛みが出ることって、そんなに珍しいことではないんです。もちろん、中には注意が必要な痛みもありますが、多くの場合、私たちの体が頑張って回復しようとしているサインなんですよ。
今回は、そんな治療後の「ズキズキ」の正体を、一緒に探っていきましょう!
治療後に出る痛み、それってどんな種類?
治療後に感じる痛みには、色々な種類があります。どんな痛みを感じるかによって、その理由も少しずつ違うんですよ。
- ズキズキ、ズーンとする痛み: これは、治療した部分の神経や周りの組織が、まだ少し炎症を起こしているサインかもしれません。
- チクチク、ピリピリする痛み: 治療した歯が、一時的に敏感になっている可能性があります。冷たいものや熱いものがしみたりすることも。
- 噛むと痛い、押すと痛い: 治療した歯や、その周りの歯ぐきが、まだ少しデリケートになっているのかもしれません。
- ジンジン、鈍い痛み: 治療した部分の奥深くが、じんわりと痛むような感覚です。
もちろん、これらの他にも色々な痛み方があります。大切なのは、「いつもと違う、我慢できない痛み」を感じた場合は、遠慮せずに歯医者さんに連絡することです。
なぜ?治療後に痛みが出ちゃう主な理由
それでは、なぜ治療が終わったのに、まだ痛みが出ることがあるのでしょうか?主な理由を、一つずつ見ていきましょう。
1. 治療による、ちょっぴりした刺激
歯の治療って、どうしてもお口の中に少し刺激を与えることになります。例えば、虫歯を削ったり、詰め物をしたり、歯石を取ったり…。これらの処置は、健康な部分には影響がないように、細心の注意を払って行われますが、それでも、周りの神経や歯ぐきにとっては、ちょっとした刺激になることがあります。
例えるなら、お掃除をした後って、普段触らないところを触ったりするので、少しだけ筋肉痛のような感じになること、ありませんか? それと似たような感じで、治療した部分も、一時的に敏感になっていることがあるんです。
2. 炎症がまだおさまっていない
虫歯が大きかったり、歯周病が進行していたりした場合、治療前にすでに炎症が起きています。治療によって原因を取り除いても、炎症が完全に落ち着くまでには、少し時間がかかることがあります。
例えるなら、怪我をした場所に消毒をして、ばい菌はいなくなったけれど、赤みや腫れがすぐに引かないのと同じです。お口の中も、治療後しばらくは、炎症が残って痛みを感じることがあるんです。
3. 歯の神経が、びっくりしている?
深い虫歯の治療などで、歯の神経に近い部分を触った場合、神経が一時的に過敏になっていることがあります。これは、神経が「急に何が起きたの!?」と、びっくりしているような状態です。
例えるなら、急に冷たい水に手をつけた時、ピリッとした刺激を感じるのに似ています。神経が落ち着くまでの数日間は、冷たいものや熱いものがしみたり、軽い痛みを感じたりすることがあります。
4. 噛み合わせが、ほんの少し変わった?
詰め物や被せ物をした場合、治療後に噛み合わせがほんの少しだけ変わることがあります。ほんのわずかな変化でも、噛む時に特定の場所に力が集中してしまい、痛みを感じることがあるんです。
例えるなら、新しい靴を履いた時、最初は少しだけ違和感があって、特定の場所が痛くなるような感じです。噛み合わせは、とてもデリケートなので、少しの変化でも感じやすいんですね。
5. 歯ぎしりや食いしばりの影響
普段から歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、治療後の歯にさらに負担がかかりやすく、痛みが出やすいことがあります。無意識のうちに強い力が加わることで、治療した部分が刺激されてしまうんです。
例えるなら、せっかく治療したばかりの場所に、何度も強い力を加えてしまうようなものです。治療した部分が安定するまでは、特に負担がかからないように注意が必要です。
6. まれに…治療とは別の問題が
ごくまれにですが、治療した歯とは別の場所に、新たな問題が起きている可能性も考えられます。例えば、隣の歯が虫歯になったり、歯ぐきが炎症を起こしたり…。治療後の痛みが長引く場合や、どんどん強くなる場合は、念のため歯医者さんに相談してみましょう。
痛みが続く時、どうすればいいの?
治療後の痛みが続く場合は、自己判断せずに、まずは歯医者さんに連絡することが大切です。先生に症状を伝えることで、適切なアドバイスや処置を受けることができます。
それまでの間、ご自身でできることとしては、以下のようなことがあります。
- 安静にする: 治療した部分をできるだけ刺激しないように、硬いものを噛んだり、強く触ったりするのは避けましょう。
- 冷やす: 痛む部分を冷やすと、炎症を抑える効果が期待できます。ただし、冷やしすぎには注意してくださいね。
- 痛み止めを服用する: 市販の痛み止めを服用する場合は、用法・用量を守って正しく使いましょう。
- 歯ぎしり対策: 普段から歯ぎしりの癖がある方は、マウスピースなどを使って、歯への負担を軽減することを検討してみましょう。
治療後の痛みは、体が頑張っている証拠
歯の治療後に痛みが出ると、どうしても不安になってしまいますが、多くの場合、それは体が回復しようと頑張っているサインです。焦らず、先生の指示を守りながら、ゆっくりと様子を見守りましょう。
もし、どうしても不安なことや、いつもと違う痛みを感じた場合は、遠慮せずに歯医者さんに相談してくださいね。あなたの「ちょっと心配だな」という気持ちに、きっと寄り添ってくれるはずです。
私たちのお口は、毎日頑張って食べたり、話したり、笑ったりするために、とても大切な役割を担っています。治療後のケアをしっかりとして、いつまでも健康な歯で、笑顔いっぱいの毎日を過ごしましょう!
かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック 院長 押村憲昭