名古屋市中村区の歯医者、かすもりおしむら歯科

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インフルエンザ予防に“口腔ケア”が欠かせない理由




冬になると毎年流行するインフルエンザ

学校や職場での集団感染が起きることもあり、誰にとっても身近で注意が必要な感染症のひとつです。

一般的な予防方法としては、
ワクチン接種・手洗い・うがい・マスク
が広く知られています。しかし近年、医科・歯科の両分野で注目されているのが「口腔ケアによるインフルエンザ予防」です。

口のきれいさが、インフルエンザに関係あるの?
そう思われる方も多いかもしれません。しかし、最新の研究では、口の中の状態がインフルエンザにかかりやすさに大きく影響することがわかってきています。

今回は、 なぜ口腔ケアがインフルエンザ予防につながるのか、そして 今日からできる具体的な対策 についてわかりやすく解説します。




◆ 口の中の「細菌」がインフルエンザを助けてしまう?

インフルエンザはウイルスによって起こる感染症ですが、実は 口の中の細菌がウイルス感染を手助けしてしまう ことがあるのです。

ポイントは、細菌が作り出す 「酵素(プロテアーゼ)」 です。


● 酵素がウイルスを“活性化”させる

インフルエンザウイルスは、体の粘膜に侵入するときに「酵素による加工」を必要とします。
口の中やのどに細菌が多い状態だと、この酵素が大量に存在し、ウイルスが体に入りやすくなってしまうのです。

つまり、 お口の中が不潔だとウイルスが活性化しやすくなる=感染リスクが上がる ということ。

逆に言えば、
口腔ケアで細菌を減らせば、ウイルスの増殖を抑えられる
という仕組みになります。


 


◆ 高齢者の場合は“誤嚥性肺炎”の予防にも直結

インフルエンザが流行すると、高齢者の方で特に問題となるのが 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん) です。

インフルエンザによる発熱や筋力低下が起こると、飲み込む力(嚥下機能)が落ちます。
そこに口の中の細菌が混ざった唾液を誤って気管に吸い込むことで、肺炎を引き起こします


● 口腔ケアで誤嚥性肺炎の発症率が劇的に低下

高齢者にとっての口腔ケアは、
単に虫歯や歯周病を防ぐだけでなく、
命に関わる肺炎の予防にもつながる極めて重要なケアなのです。




◆ 今日からできる! インフルエンザ対策 × 口腔ケア

ここからは、インフルエンザ予防に効果的な口腔ケアのポイントを、具体的に紹介します。


① 毎日の歯みがきを“ていねいに”行う

歯の表面だけでなく、
・歯と歯ぐきの境目
・歯と歯の間
・奥歯の溝
など、細菌が溜まりやすい場所を意識して磨きましょう。

特に就寝前の歯磨きは重要です。
眠っている間は唾液が減り、細菌が一気に増えるため、寝る前のケアで細菌数を減らしておくことが感染予防に役立ちます。



② 舌のケア(舌清掃)を習慣にする

舌には 舌苔(ぜったい) と呼ばれる白い汚れがつきます。
この舌苔は細菌の塊であり、ウイルス感染のリスクを高める要因になります。

舌ブラシや柔らかい歯ブラシを使い、奥から手前へ軽くなでるように 清掃しましょう。
強くこすりすぎると逆に傷をつけてしまうので注意が必要です。



③ マウスウォッシュの活用

殺菌作用のあるマウスウォッシュを使うと、磨き残し部分の細菌を減らすのに役立ちます。
ただし、マウスウォッシュだけではケアは不十分
あくまでブラッシング+舌ケアの「補助」として使うのがポイントです。



④ 歯科医院での定期的なクリーニング

自分では落とせない歯石やバイオフィルム(細菌のかたまり)は、歯科医院でしか取り除けません

プロによるクリーニングによって口腔内の細菌数が減り、
インフルエンザなどの感染リスク低下にもつながる ことが報告されています。

特に、
・高齢の方
・持病がある方
・嚥下機能が低下している方
は、定期的な歯科受診がとても大切です。



⑤ 唾液をしっかり出す生活を意識する

唾液には、
・細菌を洗い流す
・ウイルスの侵入を防ぐ
といった「天然の防御機能」があります。

唾液を増やすためには、

  • よく噛んで食べる

  • 水分をこまめにとる

  • ガムを噛む

  • お口の体操(あいうべ体操など)
    が効果的です。

特に高齢者は唾液量が減りやすいため、意識して取り組むことが予防につながります。




◆ ワクチン+手洗い+口腔ケアで“感染しにくい体”をつくる

インフルエンザ予防で欠かせないのは、
ワクチン接種生活習慣 の両方です。

そこに 口腔ケアを組み合わせることで、感染しにくい身体づくりがさらに強化される ことが近年の研究で裏付けられています。

特に、
・子ども
・高齢者
・受験生
・仕事で人と接する機会が多い方
にとっては、口腔ケアは非常に重要な予防手段になります。




◆ お口の健康は、感染症予防の第一歩

インフルエンザ予防というと、どうしても外側の対策に意識が向きがちです。
しかし実際には、お口の中の細菌環境を整えることが、ウイルスの侵入と増殖を防ぐ重要なポイントになります。

毎日の口腔ケア + 定期的な歯科医院でのプロケア
この二つを習慣にすることで、インフルエンザだけでなく風邪や誤嚥性肺炎の予防にもつながります。

この冬は、ご家族みんなでお口の状態を見直してみませんか?
「予防」は小さな積み重ねから。
口腔ケアを上手に取り入れながら、元気に冬を乗り越えていきましょう。





この記事を書いた人は中村区にある歯医者
かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック 院長 押村憲昭