厚生労働省が活動を推進
当院では、がん患者さんの治療など周術期口腔機能管理を承りたく、医療連携先を探しています。
周術期における口腔機能管理においては、医科と歯科が併設されている病院の約63%が実施しているのに対し、歯科診療所では35%となっております。
また、歯科を標榜していない病院については約6.7%しか口腔機能管理を行っていません。
現在厚生労働省では、医科歯科連携による口腔機能管理は良い結果が得られやすいとしてHP上に公開し推進をしています。
当院ではこの活動に賛同しより地域医療に貢献できるよう連携先を探しています。
口腔機能管理で短くなる
入院期間
口腔機能管理を行うことで患者さんの入院期間がどの科においても大体10%以上減少しているというデータがあります。
口腔機能管理で口腔内をキレイに保つことにより口腔内細菌からの感染を抑えることができるため、お口の領域だけではなく、侵襲の大きい治療にも効果的だと考えられています。
入院期間の削減は口腔機能管理における大きな効果の一つで、医院様にとってもメリットになり得ると考えております。
具体的な周術期に
口腔ケアが必要な理由
創部感染の予防
お口の中の細菌が身体の中から感染する事を予防します。頭頚部がん再建手術の患者さんに対して専門的な口腔ケアをする前、手術直前、術後1週間の唾液の中の細菌の変化を調べた所、細菌の数は口腔ケア後に減少し、健康な成人の口腔内の状態に近づいた事がわかりました。このことから、お口の中の菌による創部感染のリスクが減少することがわかります。
術後肺炎の予防
手術後の患者さんの死亡に繋がる原因の一つとして「誤嚥性肺炎」がありますが、誤嚥性肺炎は主にお口の中の細菌が、何らかの原因でお口の中から肺に入り込んでしまうことで起こることが多いと言われています。特に全身麻酔時の気官にチューブを挿入する際などはリスクが大きいです。お口の衛生環境が良ければ、細菌が原因の術後肺炎のリスクが軽減できると考えられます。
移植や人工物留置後の
感染予防
日本では予防処置が及し始め、歯のメンテナンスを行う人が徐々に増え始めていると言われていますが、先進国と比較するとまだまだ予防に取り組んでいる人が少ないのが現状です。口腔内を定期的に健診したり早期治療を行ったりすることで治療期間を減らすことができ、痛みや治療にかかる費用も軽減することができます。
口腔合併症の予防
口腔周辺の放射線治療時に懸念される一つの症状として口内炎等の口腔内感染症があります。これは口腔粘膜炎のメカニズムによる止むを得ない症状のため、ほとんどの場合で口内炎が現れると言っても過言ではないかと思います。ただ、症状により食事が困難になることで体力の低下に繋がり、結果的に治癒が遅れる場合があったり、痛みによる患者さんのモチベーションの低下を招いてしまう事も考えられます。口腔粘膜炎は口の中をキレイに保ち、乾燥させないことが基本の対策となりますので、歯科医による口腔機能管理で効果的に予防やリスクを軽減することができます。
術後早期経口摂取の開始
術後にしっかりと口腔機能管理を行うことにより、口腔粘膜異常や動揺歯への対応、義歯調整等を行うことによって、早期の経口摂取が見込まれます。早期に経口摂取ができることで、食事の補助や栄養管理が簡易的になるばかりか、お口の中の乾燥軽減やプラークコントロール支援により術後の合併症も予防できます。また、術後体力の早期回復により早期退院に繋がります。
気管挿管時のトラブル回避
気管挿管時のトラブルの一つとして考えられるのが「歯のダツリ」もしくはそれに伴う「出血」によるものです。歯のダツリは誤飲に繋がりますし、出血は手術をする医師の視野を奪うと同時に、出血による感染症のリスクもあります。医師と歯科医師の連携し術前に口腔機能管理を行うことで、このようなトラブルを防ぐことが可能です。