歯が大きな虫歯になったときや、神経の治療をしたあとに必要になるのが「かぶせもの(クラウン)」です。
「どうやって作られているの?」「どんな流れで治療するの?」と気になる方も多いと思います。
今回は、歯にかぶせものができるまでの流れを、わかりやすくご紹介します。
1. 虫歯や治療後の歯を整える
まずは、かぶせものを入れるための準備から始まります。
虫歯を削ったり、神経をとる治療(根管治療)が終わった歯は、そのままでは弱くて割れやすい状態です。そのため、土台をしっかり作ってから、かぶせものを入れる必要があります。
歯医者さんでは、虫歯の部分をきれいに取り除いたあと、削って歯の形を整えます。ここで大切なのは、「かぶせものがぴったり合う形」にすること。小さすぎても大きすぎても合いませんので、精密に調整していきます。
2. 型取りをする
歯の形が整ったら、かぶせものを作るために「型取り(印象)」を行います。
柔らかい材料をトレーにのせて歯にかぶせ、固まるのを待つと歯の形がそのまま型になります。最近では「口腔内スキャナー」というカメラで歯を撮影し、デジタルデータを使って型を取る方法も増えてきました。
この型取りは、かぶせものがぴったり合うかどうかを決める大事なステップ。少しでもズレがあると、かぶせものが浮いたり、隙間から虫歯になったりしてしまうため、とても慎重に行います。
3. 仮のかぶせものを入れる
かぶせものができあがるまでには、1~2週間ほど時間がかかります。その間、削ったままの歯を放っておくと、見た目も気になりますし、食べ物がしみたり割れやすくなったりします。
そこで神経が生きている歯には、仮の蓋や仮歯を入れて、歯を保護します。仮歯は最終的なかぶせものほど強くはありませんが、日常生活を快適に過ごすために大切な役割をしています。
4. 歯科技工士さんがかぶせものを作る
型取りをした模型やデータは、歯科技工士さんという専門の職人に送られます。
歯科技工士さんは、そのデータをもとに、患者さま一人ひとりに合わせたかぶせものを作ります。
かぶせものの材料はさまざまで、金属、セラミック、ジルコニアなどがあります。
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銀歯(金属):丈夫で保険がきく
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セラミック:白くて自然な見た目
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ジルコニア:強度が高く、見た目もきれい
それぞれにメリット・デメリットがありますので、先生と相談して選ぶのが安心です。
歯科技工士さんは、噛み合わせや隣の歯とのバランス、見た目の自然さまで細かく調整して、オーダーメイドのかぶせものを仕上げてくれます。
5. かぶせものを合わせる
歯科技工士さんが作ったかぶせものが歯科医院に届いたら、いよいよ歯に合わせる工程です。
まずは歯にのせて、ぴったり合っているかをチェックします。
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隙間がないか
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高さが合っているか
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噛み合わせに違和感がないか
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見た目が自然か
これらをひとつひとつ確認し、必要なら微調整を行います。
6. 接着して完成!
最終チェックが終わったら、専用の接着剤でかぶせものを歯に固定します。
かぶせものがしっかり接着されれば、食事や会話も自然にできるようになります。
最後に噛み合わせをもう一度確認し、違和感がなければ治療は完了です。
ここまでの流れで、お口の中に新しいかぶせものがしっかり収まるのです。
かぶせものを長持ちさせるために
せっかく作ったかぶせものも、お手入れを怠ると再び虫歯や歯周病になってしまいます。
長持ちさせるためには、次のことを心がけましょう。
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毎日のていねいな歯みがき
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フロスや歯間ブラシで隙間のお掃除
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歯科医院での定期検診とクリーニング
特に、かぶせものと歯の境目は汚れがたまりやすい場所です。意識してケアすることで、かぶせものをより長く使うことができます。
かぶせものをつけるまでには数回の通院が必要ですが、その一つひとつには大切な理由があります。
かぶせものは「ただのフタ」ではなく、歯を守り、快適に生活するための大切なパートナーです。
これから治療を受ける方も、この流れを知っておけば安心して通院できると思います。
わからないことがあれば、遠慮なく先生やスタッフに相談してくださいね。
かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック 院長 押村憲昭