「歯医者さんは歯が痛いときに行くところ」と思っていませんか?
実は、この考え方こそが虫歯や歯周病を進行させる大きな原因になっています。歯が痛くなくても、定期検診を受けることが歯の健康を守るために欠かせないのです。
今回は、定期検診の意味やメリット、そして歯が痛くない時期にこそ歯科医院へ行くべき理由について詳しく解説します。
なぜ「歯が痛いときだけ歯医者に行く」では遅いのか
虫歯や歯周病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
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虫歯は歯の表面に小さな穴が開いた段階では痛みがなく、進行して神経に近づいて初めて強い痛みを感じます。
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歯周病も歯ぐきの炎症から始まりますが、出血や腫れを感じるころにはすでに進行しているケースが多いです。
つまり「痛いから歯医者へ行く」では、治療が大がかりになりがちなのです。
一方で、定期検診を受けていれば、痛みが出る前に小さな異常を発見し、最小限の治療で済ませることが可能になります。
定期検診で得られる主なメリット
1. 虫歯や歯周病の早期発見・早期治療
定期検診では歯科医師や歯科衛生士が口の中をチェックします。レントゲンやプローブと呼ばれる器具を用いて、目では見えにくい初期の虫歯や歯周病も見逃さないのが特徴です。
早期発見できれば、歯を大きく削る必要がなく、通院回数や治療費の負担も軽減できます。
2. プロによるクリーニングで口腔環境をリセット
毎日の歯磨きでは落としきれないプラークや歯石は、定期的に専門家によるクリーニング(PMTC)を受けることで除去できます。
歯石は一度つくと歯ブラシでは落とせませんが、放置すれば歯周病の原因となります。
クリーニングを受けることで、虫歯・歯周病の予防はもちろん、口臭予防や歯の見た目の改善にもつながります。
3. 自分では気づきにくい生活習慣の指導
定期検診では、食生活や歯磨きの癖、歯並びや噛み合わせなども含めて総合的にチェックしてもらえます。
「どんな歯ブラシを使えばいいか」「フロスや歯間ブラシはどう使うか」など、一人ひとりに合わせたアドバイスを受けられるのもメリットです。
4. 将来的に歯を失うリスクを減らせる
日本人が歯を失う原因の第一位は歯周病、第二位は虫歯です。どちらも早期に発見・予防できれば防げる病気です。
定期検診を受け続けることは、将来、自分の歯で食事を楽しむための最大の投資といえます。
定期検診はどれくらいの間隔で通えばいい?
一般的には3〜6か月に1回が推奨されています。
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虫歯や歯周病のリスクが高い方(過去に治療経験が多い、歯並びが複雑、歯磨きが苦手)は1ヶ月ごと
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比較的口腔環境が良好な方は3ヶ月ごと
弊院では1~3か月をおすすめしております。
歯科衛生士の指示に従ってご来院ください。
定期検診に行かないとどうなる?
「忙しいから」「今は痛くないから」と定期検診を後回しにすると、次のようなリスクがあります。
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気づかないうちに虫歯や歯周病が進行する
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治療が必要になったときに費用や時間が大きくかかる
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抜歯や入れ歯、インプラントなど大きな治療が必要になる可能性が高まる
特に歯周病は「沈黙の病気」とも呼ばれ、気づいたときには重症化していることも珍しくありません。
子どもや高齢者にも定期検診は大切
定期検診は大人だけでなく、子どもや高齢者にも非常に重要です。
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子ども:乳歯や生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすく、フッ素塗布やシーラントなどの予防処置が効果的です。
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高齢者:加齢とともに歯ぐきが下がり、根面が虫歯になりやすくなります。嚥下機能や噛む力を保つためにも定期検診が役立ちます。
歯が痛くないときこそ歯科医院へ
歯科検診は「治療のため」ではなく「予防のため」に行くものです。
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痛みが出てからでは治療が大がかりになりがち
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定期検診で小さな異常を早期発見できる
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プロのクリーニングで歯を健康に保てる
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将来、自分の歯を守り続けることができる
だからこそ、歯が痛くなくても歯科医院に行くことが大切なのです。
あなたの歯と笑顔を長く守るために、ぜひ定期検診を習慣にしてみてください。
この記事を書いた人は中村区にある歯医者
かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック 院長 押村憲昭